窓の大規模改修工事を知る~長期修繕計画について~一覧へもどる
分譲マンションは、個人で所有する室内空間等の専有部分と、所有者全員で所有する共用部分から構成されています。
しかしながら、個人の住まいである専有部分も、共用部分があってはじめて住宅として機能し、また資産としての価値が成立します。
したがって、建物・設備の各部分の劣化の状況に応じて適切な時期に改修を行わないと、劣化はどんどん進み、
また住まいとしての快適性も資産としての価値も低下してしまうことになります。
劣化が一定以上進んでしまうと、修繕に多額の費用が必要になり、以前の状態に戻すことも困難になります。
分譲マンションを長期にわたって快適で安全な住まいとして維持し、また大切な資産としての価値を保全するため、共用部分の修繕について長期的な修繕計画を立て、その計画に従って適切な時期に修繕工事を行うことが重要です。
(1)マンション改修のサイクル
分譲マンションを長期にわたって快適で安全な住まいとして維持し、また大切な資産としての価値を保全するためには、
「長期修繕計画」をたて、この計画に基づき「修繕積立金」を積み立てることが大変重要です。
マンションは、鉄筋コンクリートで造られた頑丈な建物であるため、何年も使用した各種設備は、色々な部分が劣化していきます。
特にマンションはオフィスビル等と違い、他の用途のものに比べてより傷みやすい建物といえます。
マンションは、機能回復のため修繕等の手を加えない限り、人間の身体のように自然に回復することはありません。手間が掛かるものです。
それを踏まえ、問題が発生してから対応するのでなく、建物等に起こるさまざまな劣化等を予測し対応をしておくことで、はじめて安全で安心な暮らしが得られるものです。
それが長期修繕計画であり、そのための修繕積立金なのです。
(2)長期修繕計画とは
長期修繕計画とは、多額の費用が必要になる分譲マンションの修繕工事を的確に実施するために、向こう20年~30年程度の期間を見通して、いつ、どの部分を修繕するのか、そのためにはどのくらいの費用がかかるのか、そしてその費用を各区分所有者がどのように負担しあうのかを、あらかじめ計画するものです。
長期修繕計画を設定している割合
平成30年度現在では、長期修繕計画を作成しているマンションがおよそ91%を占めています。
25年以上の長期修繕計画
25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定している割合は、平成25年度の46.0%に対し、平成30年度は53.6%に上がっています。だんだん増えてきていることがわかります。
築年数が浅いマンション程、25年以上の長期修繕計画が立てられていることがわかります。また、大規模改修工事費用がかかる築年数の古いマンション程、長期修繕計画が明確になっていない場合が多いことが分かります。
(3)長期修繕計画・修繕積立金はどうなっていますか
大規模改修工事を行う際には、長期修繕計画に基づく修繕積立金が必要です。
お住まいのマンションの長期修繕計画はどうなっていますか。
長期修繕計画が十分な内容でない場合、早急に見直しが必要かもしれません。
管理がうまくいっていないマンションとは
一部居住者の協力が得られにくい、マンション業者が良くない、管理組合役員が不慣れなど、さまざまな理由が管理組合の運営がうまくいかない要因の一つになります。しかし、理事会の体制がしっかりと確立し、管理組合活動が活性化すると、一番困るのは業務能力に欠ける管理会社です。面倒なことを嫌い、アドバイザーとして消極的な管理会社が多いことが、上記にあげられる問題を招いている一因であることは否めないでしょう。
長期修繕計画の見直し
長期修繕計画は、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて見直し、修繕積立金の額も見直す必要があります。
見直す際には、必要に応じて専門委員会の配置、適切なアドバイスをしてくれる専門家を選ぶことが必要になります。
また長期修繕計画の見直しにあたっては、専門家による設計図書、修繕等の資料調査、現地調査、区分所有者に対するアンケート調査等の調査・診断を行って、建物及び設備の劣化状況、区分所有者の要望等の現状を把握し、これらに基づいて作成することが必要になります。
理想の長期修繕計画を作成するために
・新築マンションは30年以上、既存マンションは25年以上の長期修繕計画を作成しましょう
・5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて修繕積立金の額を見直しましょう
・マンションの仕様、立地条件、建物及び設備の劣化状況等の調査診断の結果等に基づいて設定しましょう
・計画期間に見込まれる推定修繕工事費が示され、その額を修繕積立金の累計額が下回らないように計画しましょう
長期修繕計画を周知しましょう
長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定にあたって、総会の開催に先立ち説明会等を開催し、その内容を区分所有者に説明するとともに、決議後、総会議事録と併せて長期修繕計画を区分所有者に配布するなど、十分な周知を行うことが必要です。
また、区分所有者から求めがあれば閲覧できるように保管するようにしましょう。