大庭みゆき氏コラム【私の快適性×窓】1一覧へもどる
≪プロフィール≫
環境エネルギー総合研究所 代表取締役所長 大庭みゆき氏
財団法人省エネルギーセンター勤務を経て平成10年、株式会社環境エネルギー総合研究所を設立しました。「生活者の視点でフィナンシャルにエネルギーを考える」をモットーに、家庭を中心としたエネルギー関連調査、省工ネアドバイスを行っています。納得できる暮らしの質の向上にこだわる住宅などの研究にも注力されています。 エネルギー関係のエンジニアであり主婦でもある大庭氏に今月から4回に分けて、女性の視点とエンジニアの視点の両方から様々な角度で「窓」についてお話いただきます。
【第一回】見るをテーマに窓を考えよう。
目は心の窓!?
日本語で「窓」は単なる住宅の開口部を示すものだけではなく、「目は心の窓」と言うように「目」の意味も含まれています。興味深いことに英語で窓を表す“Window”も由来をたどると「風の目」という意味を持ちます。洋の東西を問わず人は窓に目をイメージするようです。目と窓には内と外をつなぐ場所という意味で共通性があるようです。更にもう一つの共通性は「飾る」ということです。アイメークやメガネ、コンタクト等、人は目を飾ります。ヨーロッパ等では凝った窓はあまり見かけませんが、多くの住宅の窓辺には美しい鉢植えが飾られ、窓を花で飾る習慣があります。一方日本では、戸建住宅で時折、窓辺を花で飾っている家を見ますが、マンション等の集合住宅では居住規約等の制約のためか、ほとんど見かけません。
しかしながら日本にはもともと窓を飾る文化がありました。窓を掛け軸に見立てて庭の景色を住まいの中にとりこんだり、上下、二つの窓の配置をわざとずらして茶室に趣を出す「色紙窓」などです。面白いものでは、京都の商家で使われていた紅殻格子の窓は細い格子の本数によって家業が分かる(米穀店は1 本、呉服屋は2 本等)ようなものもあります。そのように窓に遊び心を持っていた日本人ですが、近頃はクリスマスの頃を除いて、あまり窓を飾らなくなってしまいました。
そこで、新しい季節の始まりとともに、窓を飾ってみませんか?何の変哲もない普通の窓でも、飾り方によってびっくりするほど印象を変えることができます。飾る窓はリビングの窓だけとは限りません。お風呂場の窓やキッチンの窓等、日頃は忘れがちな窓にも注目して見て下さい。その窓から見える景色、あなたの「!」(感動)を窓に足し算しましょう。
窓を飾る時のポイントは、テーマを決めること!
例えば「外の景色をもっと楽しむための窓」や「季節を感じるための窓」、「我が家のニャンコがくつろぐための窓」などなど、テーマを決めて取り組むと迷いが少なくなり、結果として完成した窓に統一感が生まれます。ちなみに我が家のキッチンにある窓のテーマは「やる気が出る窓」です。「今日は料理をしたくないなぁ。」という日、この窓を見るとやる気が出ます。
実は窓にかけてあるレースのカーテンの柄が色々な人の顔のマンガになっていて、見るたびに思わず「ニヤッ。」とするのです。笑うことでリラックスして気分転換になります。そのような窓の飾り方をいくつかご紹介しましょう。
(1)夜景を楽しむ?光で窓を飾る?
夜景が綺麗な窓をお持ちだったら、是非夜景を楽しむために「光」で窓を飾りましょう。
写真の照明は電池で動くロウソク型のLED ランプです。天井の照明を消して窓辺に置いたLED ランプの揺らぐ光で窓を飾ると、昼間見過ごしていた美しいものが見えてきます。
(2)カーテンで遊ぶ?たかがカーテンされどカーテン?
窓にカーテンはつきものですが、「窓を楽しむため」にカーテンを選ぶと普段と違ったチョイスになり、ちょっとしたプチリフォームになります。
写真はレースと厚地のダブルかけのカーテンを使って、「毛糸玉で遊ぶ猫」を窓に作ってみました。猫好きだけど事情があって猫が飼えないお宅でもこれなら大丈夫です。たかがカーテンですが毎日見るものなので、されどカーテンです。季節に合わせてカーテンを変えるのもお勧めです。カーテン生地ではないもので作ると面白いカーテンができます。実はこのカーテンには更に仕掛けがあって、夜になるとベランダのLED の鳥が灯り、カーテン越しに「猫と小鳥」が遊んでいるように見えるようになっています。昼と夜で二通りの窓を楽しむことができるんです。
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